英単語が増える！語源イメージ (20) DICTIONARY ： 「言葉遣い」の宝庫

第20回　今回のキーワードは DICTIONARY です。

今や辞書と言えば電子辞書 electronic dictionary が一般的になってきて、重たく分厚い辞書は過去のものになってきました。でも、あの紙の分厚い辞書をめくりながら、単語や表現に出会う楽しみ、なくなるのかなあ。

 だんだん使い慣れてきたり、だんだんボロボロになっていくと共に、自分が進歩しているように感じた、あの感触は懐かしいし、なくなっていくのは寂しい。いやなくなっていかないでしょう、そしてまた見直されるときが来るかも。

 さて　dictionary 「辞書」の中に見える　"dic / dict" は、ラテン語のdicare 「宣言する、言う」から来ています。diction は「言葉遣い、発音の仕方」という意味の単語で、　diction + -ary [場所・宝庫] で辞書というわけです。

 malediction はmale　[悪い] + diction [言い方] で、「悪口、中傷、のろい」となります。 dictateは「書き取らせる」で、誰かが話す内容を他の人に書き取らせるときに使われます。 The president dictates a memo to his secretary. dictateの名詞形はdictationです。英文を聞いて紙に書き取るディクテーションは、英語学習でも大切な手法ですね。

 dictate　にはもう一つ「命令する」という意味があります。それで　dictator は[命令ばかりする] 「独裁者」という意味になります。 dictatorship は「独裁政治」あるいは、「独裁者の地位」を意味します。

 predict は　pre [前もって] + dict　[言う、宣言する] で「予言する」となります。「予言」は prediction です。 indicate は「指し示す、指摘する」です。　in (＝towards) [～に向かって] + dicate [宣言する、知らせる] で出来ていますね。

 この単語の仲間には「尺度」を意味する　indicator もあります。 裁判における「評決」は　verdict です。vere(＝true) [真実を言う」＋dict [言う、宣言する] です。

 発音に注意すべき仲間の単語にindict 「起訴する」、indictment 「起訴、公訴」があります。 "i" を発音しないので、気をつけましょう。

 addict は ad [その方向へ] + dict [話す] で、そのことばかり話すので「中毒、熱中者」となります。動詞は「中毒させる、熱中させる」で、何かに熱中しているときは　過去分詞　addicted 「熱中している」を使います。addictive　は形容詞で「中毒性の、習慣性の」となります。 I'm addicted to you. なら「私はあなたに首ったけです。」

 contradict はcontra [＝against 反対する] + dict で [反対のことを言う] から「矛盾する」となります。 contradiction は「反対、矛盾」。形容詞はcontradictious 「あまのじゃくの、好んで反対する」。

 「何かに身をささげる、献身する」という意味の動詞は dedicate です。これは de [離れて] ＋ dic[言う] ですが、集団、通常から離れてあることに集中することを示しています。使い方は、She dedicated herself to the project. （彼女はその計画に身を捧げた。）Tom is a dedicated teacher.（彼は熱心な教師だ。）dedication は「奉納、献身」。

 このように dic/dict は、人間の様々な意思の表現や言葉の使い方に関わる、多くの重要単語を構成しているのがわかりますね。今や電子辞書もネット検索もどんどん便利になっています。うまく活用して語彙力を高めていきましょう。