英単語が増える!語源イメージ (21) DUCT : 空気や水だけでなく人、商品、学問など様々なものを「導き」ます
21回 今回のキーワードは DUCT です。
duct はラテン語の ductus [導く] からきています。換気ダクトのように空気を導くのが duct ですが、水を送る「送水路や水道橋」は aque [水] + duct で、 aqueduct と言います。同じ語源で "aquaduct" と呼ばれる歴史的な水道橋は世界中にあり、観光名所となっています。
ラテン語 ductus の動詞、ducere を元とする "duce" も英語の多くの単語に見られ、同様の意味を示します。
produce はpro [前に] + duce [導く] で 「生産する、生み出す」とうい意味。したがって product は 「商品、製品」、 by-product は「副産物」となります。 さらに productive 「生産力のある」、 productivity 「生産性」、 producer 「プロデューサー」という仲間もいます。
「自己紹介」 self introduction でおなじみの introduce も intro [中に] + duce [導く] で「紹介する」となります。 Please, introduce yourself. 「どうぞ、自己紹介をしてください。」
conduct「案内する、実施する、運営する」は con [共に] + duct [導く] で出来ています。conduct an interview 「面接を実施する」。 conductor はバスや電車の「車掌」の意味がありますが、音楽の世界では「指揮者」となります。いずれも「皆を導く」仕事ですね。
「費用の削減」は cost reduction ですが、この reduction も re [後ろに] + duct [導く] で「減らすこと」。動詞は reduce で「減らす、削減する」です。同様に税金などの計算で、「控除」に当たる言葉が deduction。 de [下に] + duct 「導く] で構成されています。 ただし動詞の deduce は 同じく [下へ導く] のですが「(前提から)結論を導く、推論する」という意味で使われます。
abduct はab [遠くに] + duce [導く] で「誘拐する」。名詞の「誘拐」は abduction です。 seduce は se 「離れて] + duce [導く] で [離れたところから導く] ので、「誘惑する」という意味になります。
さて、この duct は学問の世界で皆を導くときにも使われています。皆さんご存知の「教育」 education の動詞 educate は e [ex:外に] + duc [導く] で構成されています。 (接頭辞は ex の x が外れた形になっています)。能力を外に導き出すという意味なのです。
このように ダクト というと、建物の内外に引かれていて、どちらかというと地味な隠れた存在ですが、英単語の世界では空気や水だけでなく人、商品、学問など様々なものを 「導き」、大活躍しているのです。